「FURY」を見た。

個人的にクエンティン・タランティーノとかを蔑んでいる人間なので、「ナチスドイツを悪者にしてそれで済ませている映画」ではない、というところがリアルで良いとは思う。米軍がひどいことしまくり、っていう描写が多々ある。
まあブラッド・ピットの演じてるひどい上官がわりと如実に象徴的な存在にはなっている。

まあ第2次大戦はそういう戦闘が多かったよね、ってことでもあるかな。

ただ、「アメリカン・スナイパー」を見た後だと、すごく雑に感じる。
まあ描かれている時代が1940年代なので、当然といえば当然だが…。

「戦争のはらわた」とかのほうがおすすめできるかな? (邦題がひどすぎるけど)

曳光弾とかのビジュアルはかっこいいけど…。土に当たった弾丸が跳弾になるかな? とか、けっこう疑問。動くtigerIは出てきたけど、こういう時コマンダー(車長)は中に入らなかったのかな?

あ、あと、戦車戦ってこういうものだ、っていう描写はすごく重要。
戦車ものの学園アニメとかほんと論外なので。(あとWoTで勝率が50パー切ってるやつも論外)

「主要キャラクターだけはなぜか銃撃戦でなかなか撃たれない」「撃たれまくった人がよく喋る」「死体が原型をとどめすぎ」問題がここにもある…。
最後のドラマチックさは、ストーリーとしてはアリだけど、リアル(=現実的)かどうかは、うーん。

「アメリカン・スナイパー」とはかなり温度もニュアンスも違うけれど、「不毛さ」を如実に描いている映画だと思う。
ただこれを誤解してしまう人もけっこういるだろうなあ。タイトルの「FURY」の向ける先は「戦争」に対してすべきなわけで、この映画もそういう意図で作られたとは思うが、それこそクエンティン・タランティーノとかが好きな人とかは、「わかりやすい人的な敵視」をしてしまいそうだ…。
あと、ナチスドイツを批判するなら、そこまでドイツを追い詰めた第一次大戦のフランスの悪辣さも批判されないといけないわけで…。

第一次世界大戦ドイツ賠償金の支払い完了
http://blogs.yahoo.co.jp/bontaka1/17569128.html

なぜあの時、世界大戦へと突入したのか?今、ざっくり読んでおきたい世界経済史 第3回
http://diamond.jp/articles/-/60474

ドイツでナチスが台頭したのはフランスが第一次世界大戦で桁外れの賠償金をドイツに要求したからでしょうか?
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1062690180
ちょうど数日前にパリでテロが起きたばかりでもあり、いろいろと考えさせられるなあ。

「アメリカン・スナイパー」を見た

戦場の緊張感に取り憑かれてしまう、って点では、「ハート・ロッカー」や、日本の漫画の「エリア88」にも通じるかもしれない。
せっかく退役したのに、また戦場に戻ってしまう、ってあたりが。
あとは「ディア・ハンター」もあったな。日常生活に戻れなくなってしまうところが。

不毛さ、って点では「ブラックホーク・ダウン」「ジャーヘッド」「フルメタル・ジャケット」とかもあるなあ。
いわば「勇敢さって意味ないよね」系。

あと「ゼロ・ダーク・サーティ」もあるか。あれも徒労感がすごい。

もちろんクリント・イーストウッドが監督した、って点も重要なんだろうけど、あんまこの映画では個性は前に出ていない感じ。

まあイラク戦争にまつわる不毛さを描いた、って点では新しいし、グローバルホークとかの無人偵察機も出てきたりして、撮影される必要もあったんだろうけど、描こうとしているテーマはいつの時代の映画も同じかも。

イラク戦争自体の不毛さは「華氏911」「ビン・ラディンを探せ!」なんかを見てもいいし。

そういう意味では、これらの映画を見ていれば、「あまり新鮮味はない」映画に見えちゃうかもなあ。

まあ「グラン・トリノ」しかり、「アメリカの男らしさ」の象徴でもあったクリント・イーストウッドが、「アメリカの幻想にはびこる勇敢さって愚かで無意味じゃないか?」ってテーマの映画を撮ることには、すごく意味があると思う。

ただ最後はどうなんだろう。
実在するモデル、クリス・カイルの実際の追悼映像を入れることによって、賞賛するニュアンスで終わってしまっているところが。

wikipedia クリス・カイル

まあ本人も、「頭のおかしくなった退役軍人に射殺された」って点では、なんか皮肉なブーメランという感じがする。
エリア88の「ベンディッツ・レポート」って回を思い出す。

ハート・ロッカー

エリア88 新谷 かおる

ディア・ハンター

ブラックホーク・ダウン

「ジャーヘッド」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00HNY02TA/

「フルメタル・ジャケット」
http://www.amazon.co.jp/dp/B013UO2N70/

「ゼロ・ダーク・サーティ」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00JHTVFK4/

「華氏911」
http://www.amazon.co.jp/dp/B0001X9D68/

ビン・ラディンを探せ! ~スパーロックがテロ最前線に突撃!~
http://www.amazon.co.jp/dp/B004BR3LUE/

「グラン・トリノ」
http://www.amazon.co.jp/dp/B001V9KBSA/

「ゴーン・ガール」を見た。

はじめは「チェンジリング」な「アメリカン・ビューティー」? と思って見始めた。
瞬間的には「ショーシャンクの空に」でもあるなあ。共感できないけど。
「レボリューショナリーロード」や「八日目の蝉」でもあるんだよなあ。
きちがいなおばさんの話。

「マスメディアの勝手な報道に右往左往する」って点では「マッド・シティ」にも通じる。

まあでもエスカレートの仕方が異常すぎてリアルな話には感じられないかな…。

まあ「夫婦間ホラー」って点では島尾敏雄の「死の棘」とかも形式が近いかも?
日本ではこういう展開にはならないだろうなあ。日本は一夫一婦制度に対する意識とかも地域や世代によって違うし、何よりアメリカと違って、宗教的に確立された価値観ではないので。

結末としては
「頭おかしいでしょ」な話って点では「アメリカン・ビューティー」だし、「Mr.&Mrs. スミス」か。
「ステップフォード・ワイフ」にも似てるかもなあ。
つまり「アメリカの一夫一婦制の幻想には無理があり、それを維持しようとする狂気」なんだよねえ。
つまり、おかしいのはこの二人だけではなくて、「アメリカの倫理観もおかしいよね?」っていう結末。

チェンジリング

アメリカン・ビューティー

ショーシャンクの空に

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで

八日目の蝉

マッド・シティ

島尾敏雄の「死の棘」
http://www.amazon.co.jp/dp/B00FW65LB0/

Mr.&Mrs. スミス
http://www.amazon.co.jp/dp/B0038OAORO/

ステップフォード・ワイフ
http://www.amazon.co.jp/dp/B00081U4IO/