「ククルス・ドアンの島」を見た。

「ククルス・ドアンの島」 公式サイト
https://g-doan.net/

ひさびさに映画館に行った。22時から始まって24時に終わる映画、って、いい時代になったなあ。
そして大人って便利でいいなあ。(子供か。でも、いまだに思ってしまう)

ネタバレとかそういう言葉にはいっさい興味なく、「ネタバレって言葉で騒いでいいのは、犯人が誰かなのかが重要なファクターであるミステリーだけだ」「結末を含め、語りたいことを語って何が悪い」と思ってる人間なので、そういうことを気にする人は読まなくていいです。

つーか初代ガンダムなんて43年前の作品だし「ククルス・ドアンの島」なんて全員が小学生の時から何度も見てるんだから問題ないだろ。(主語が大きい)

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前提:今回のガンダムは、いくつかテレビ版と時間軸の設定が違う様子。

・本来ジャブローで合流するスレッガーさんがもうホワイトベースにいる
・リュウさんはもういない(つまりランバ・ラル隊とも戦闘があった後?)
・(映画版に準拠して)ガンタンクは出てこなくて、ガンキャノンが2機出てくる
・Gファイターは出てこなくて、コアブースターが出てくるけど、でもマチルダさん戦死よりは前?
  (つまりドムもまだ出てきていない世界)
・ また、ジャブローよりも前の様子
・ジャブローより前だけどもうジムは当然のように配備されてる

そういう観点から、「ジオンのモビルスーツは今のところザクが最強」の状況設定となっている感じ。

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よかったところ

■今の画質で動くガンダムが見られたのはすごい
これはほんとにいい。3Dモデリングで、完璧な形のガンダムやザクが超高速で戦闘シーンを繰り広げてくれる。
ガンダムの出番がちょっと少ないけどね。大きさの描写もよくて、ちゃんと「モビルスーツが巨大で重くて危険なもの」感は出ていた。あと、漫画のオリジンで要所要所に描かれる「連邦の白い悪魔」としてのガンダムのまがまがしさも出てた。(かつて、パトレイバーの廃棄物13号のアニメが、その重さ描写がなくて、迫力なかったんだよね…(例えが古い))

■安彦良和のファンなので、安彦良和の新作が見られるのはすごい
安彦良和の漫画はほとんど持っているので、これからも揃えていく方向で考えている。一番好きなのは「巨神ゴーグ」だけど。
(LDと国内盤DVDと海外版DVDを持ってる。 USのプライムビデオだと、もうずっと見放題みたいだけど…。)

amazon.com「Giant Gorg」
https://www.amazon.com/dp/B07Q26MRZ7/

■序盤にビームライフルがなくなる描写はよかった
「サーベルやヒートホークで戦わざるを得なくなる」のはバランスが取れてていい。

■コアブースターが出てる! コアブースター! (もっと活躍させてもよかったのでは)
GファイターならHGでプラモデルが出てるのに、なぜかいまだに出ていないコアブースター。HGUCで色分けプラモ出してください。新しいデザインと旧デザイン、どっちにも作れるモデルで。プレバンだけでの販売でもいい。2つは必ず買うので!
もうちょっとサザンクロス隊以外のザクやドップとかマゼラトップとか出して、ちゃんと活躍させてあげてほしかった。
つーかスレッガーもコアブースターで出撃、でまったく問題なかったよね。。

■ガンキャノン2機の映画仕様なのはよかった。
兵器ってやっぱある程度機数あったほうがリアルだよな…。ガンタンクも、オリジンでも「ガンタンク初期型」が出てたけど、あれくらいの形状じゃないと不自然だし、映画版に準拠したのは正解。

■ホワイトベースがかっこいい
「ガンダムさん」で「こんなのが空飛ぶわけないじゃん」「いけません大佐…」みたいな会話あった気がするけど、ちゃんと形状があちこち変わってて(特に両サイドのメガ粒子砲がある盾みたいなところの形状とか)、「これならなんとか飛ぶのでは」感は出てた。(個人の感想です)

■サントラが、テレビ版のサントラ使ってるw
はじめは「えっ」ってなったけど、あくまで「テレビ版の翻案リメイクですよ」って意味で良くて、ちゃんとマッチしていた。
過去のテレビ版は、悲しい戦闘のシーンなのにやけに勇ましかったり、シャアがダメージ受ける箇所(ゲルググが片腕を失うところ)で「 シャア! シャア! シャア!」とか流れて、「おい、それ合ってないだろ」ということがあちこちにあったが…。

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ここからは、気になったところ。

■ほのぼのシーンの描写の「甘さ」が「一年戦争やってる」感をそいでいるかも?
死者の出ない「特車二課」ならまだいいけど、どうなんだろう。島の子どもたちの描写にしても、フラウのキャラ設定にしても…。ちょっと「傍若無人」感は出ちゃってるかも。

■「子どもたちが難民になる原因を作ったのは自分だ」と告白するシーンがなかった?
かつてドアンがサザンクロス隊にいた時に、親が死亡した子供を見るシーンがあったが、セリフなどではいっさい説明がないので、テレビ版をみてない世代や客層には「え?」あるいは「それは説明してくれ」と思えるかも。
あと、この子供たちがこんな住みにくい島に住んでる理由がない…。どうしてこの島にこんなに子どもたちがいるのか、自然に描くなら、この島に一定の大きさの「激戦で廃墟になった村か町があって、子どもたちはそこ出身」である必要がある気がする。
あるいは、ほかの街の子供をここに連れて来たのなら、それはそれで問題だし、むしろ子どもたちが「街にもどりたい」と言い出すだろうし。

■子どもたちに「ありがとうククルス・ドアン」と言わせるのはおかしいのでは。
上の話にも通じるけど、子どもたちが難民になる原因作ったのドアンだよね…!?
小さい辺鄙な島の設定なので、そういう意味でも、「子供たちが多すぎる」気はした。
アムロに似た少年の存在は要所要所のストーリー上とても重要で、すごくよかった。

■ホワイトベース隊のメンバーをもっと活躍させてもよかったのでは。
せめてサザンクロス隊の一機くらいはチームワークで倒してほしかった。
サザンクロス隊が強くて、その上さらにドアンが相対的に強いことを表現したいんだろうけど、コアブースターが不時着する前にスレッガーさんもちゃんと着水するなどして、なんらかの出番を用意したほうがよかったと思う。ブースター部分は被弾しても、セイラさんもコアファイターだけで離脱して飛行続けられるだろうし。これは明らかに不満。

これ、前述の「ほのぼのシーンの成分」の問題にも通じるんだけど、基本的には「戦争をやってる人たち」なわけで、これだと(知らない人には)ただのダメ軍隊になってしまう。

■サザンクロス隊のメンバー一人の扱い
基地の中で倒されるあのメンバーは、足で踏むんじゃなくて「高機動ザクに乗るのを待ってあげて一騎打ちで一気に倒す」のでもよかったのでは。
で相手が卑怯な手を使ってきたり(あの少年を人質にしてもいい)すると、「倒していい悪い相手」としての描写になるのでなおよし。
これも、「ほのぼの成分」との兼ね合いですごく食い合わせが悪くて、「どうなんだそれは」感。

■別に灯台のせいで見つかったわけではないので、「余計なことを…」はいらなかったのでは。
逆に、子どもたちの前でドアンが「灯台を消すんだ!」とか言うことで、状況がわかってよかったかも。

真ん中へんの描写で「ドアンがザクに乗ってる」ことは子どもたちも知ってる描写がある(遠くでドアンが戦ってる音を聞きながら子どもたちが寝るところ)んだよね。なので、そういう意味でも、「ドアンが真剣な時は、子供たちは察して邪魔をしないようにしないといけない」ってことは全員がわかってる感じを出してほしかった。そういった意味でも子供たちの描写が雑and緊張感がないんだよね…。

■涙の描写が過剰。
これは完全にだめ。オリジンでも似た描写あったけどね。安彦良和以外のスタッフによるものだと思いたいw

■フラウや子どもたちの描写が雑。もっと大人っぽく書くくらいでいいのでは。
フラウも、一応曹長ぐらいの立場だったと思うし(それはジャブローからか?)、まわりが戦闘して死者が出たりしてるんだろうから、「アムロ一人のためだけにこんな騒ぐのは申し訳ない」感くらいは出してほしかった。
エリア88でも風間真とかがそんなに特別扱いされないみたいに。(例えが古くて悪いが(でもこれ見てるような人は絶対もうこの世代だからいいよな))

■メンテナンスドックで、「何台ものザクやジムから部品を取ってカスタマイズしてました」的な描写はあってもよかったかも。
海に沈んでるザクやジムの描写があるのはいいけど、「倒したモビルスーツから部品を取ってて、改造もしてるから性能が高く、動きも早かった」とかの「無言の設定描写」が欲しかったなー。で、いらないジムの装甲部分などが海に沈んでる、とかね。。

■ホワイトベース隊のメンバーが、「なぜザクとザクが…!?」と驚くシーンがあってもいい気がする。
前述の「サザンクロス隊とホワイトベース隊がもっと互角に戦う」シーンが欲しかったのと同様、半壊したジムやガンキャノンが、お互いを支え合いながら、「あのザク…味方じゃないようだけど…なぜだ!?」とか描写しないと、「どうしてすんなり状況を受け入れてるんだよw」感がすごい。(ガンキャノンの倒され方も過剰だったと思う。これだと43話の「脱出」をもし映像化したときの、「うわ歴戦のキャノンも片足ないじゃん!」の切迫感が薄れるんだよね。)

あるいはクレーターの横で、「さっき出会ったばかりだけど、アムロのことをなぜか知っている子どもたちに教わって」もいいかも。
それに近いところで、サザンクロス隊の女性メンバーも、ドアンにあっさり倒されるのだとあまりに「設定の割には雑すぎる展開」なので、「かつての隊長であったドアンと戦うのを躊躇しているところを、ホワイトベース隊の誰かに倒される。あるいは、サザンクロス隊の残忍な現隊長に倒される」とかでもよかったのではと思う。(これなら、現隊長が、ストーリー上一番倒すべき相手、としても演出できるし)

■最後、ガンダムが登場するシーンはかっこいいけど、サザンクロス隊が2機残って、「高機動ザク2機 VSドアンザク+ガンダム」みたいなシーンがあってもいい気がする。

ガンダムの出番が少し少なすぎるのは否めない…。
まあ、こういう展開の「主役登場!」感、歌舞伎の「暫」とか、ソリッド・スネークの「待たせたな」感は嫌いじゃないけど、
ドラグナーの最終話でD-1とファルゲンが共闘してギルガザムネを倒すみたいに(例によって古い)、一瞬でもいいからドアンザクと共闘するシーン(でホワイトベース隊のメンバーが戸惑ったり、島の子供たちがアムロとドアンに喝采する)とか、見たかった気もする。
そういう意味でもサザンクロス隊の隊長はザクじゃなくてグフとかイフリートみたいなのであってほしかったけど、でもそれだと、ストーリー展開的に「このあとランバ・ラルが出てきて初めてグフと戦闘し、ザクとの違いに驚く」設定に矛盾が出てくるので、まあ無理か…。
(あれ、この映画は、時間軸の順番を入れ替えてて、もうランバ・ラルは戦死してて(=リュウさんももういなくて)、これからベルファストでズゴックが出てくるんだから、グフでも問題ないような気もする…)

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まとめとして。

まあ思い入れがハンパないものであるだけに、書きたいこともすごく多かったけど、見てよかった、とは思う。
終盤でホワイトベースはベルファストに向かうわけだけど、つまりこの後カイが脱走? 半分除隊? しかけて「大西洋、血に染めて」のシリアスな回に続くんだよね…。

できれば、オリジン版ガンダムすべてを現在のこの技術でアニメーション化してほしいところだけど、あちこちの「やらなくていい現行アニメのノリへの媚び」はいらないから、コミック版を忠実に映像化してほしいものだなあ…と思う。
安彦良和の年齢もあるだろうけど、安彦良和のニュアンスを失わずに映像化をするクリエイターがいればなあ、と思う。

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